正しい模試の活用法その1:「合格可能性の正体」
2022-06-17
カテゴリー:正しい模試の活用法
今日の記事は、新シリーズ「正しい模試の活用法」その1を掲載します。中学受験の基礎講座:第2回「模試の活用の仕方とデータの読み方」に参加された方はご存じだと思いますが、それぞれの模試にはいろいろな特性があります。
四谷の合不合判定テスト、日能研の合格判定、サピックスの志望校判定、首都圏模試の合判模試が中学受験四大模試となりますが・・・エクセレントゼミナールでは、毎年、生徒の学力や志望校に合わせてこれら4大模試を組み合わせて受験させているため、おのずと模試の特性に詳しくなります。
今回は、この時期の模試の特性と合格可能性(判定結果)について書いてみたいと思います。
さて、大前提としてあらゆる模試は母集団の質と量によってその性質が決まってきます。したがって、どのようなレベルの生徒が、何人ぐらい受験していて、どの学校に照準を当てたテストなのかによってテストの性質がおおまかに決まります。
そして、さらに模試の性質を規定するのが、いつの時期のテストなのかです。つまり、夏前の模試の合格判定と秋の模試の合格判定では判定の確かさに雲泥の差があるということです。
加えて、夏前の模試には試験範囲がある模試があります。たとえば日能研の模試では社会のカリキュラムが遅いため、公民分野が出題されません。こうした性質は、実は高校入試や大学入試の模試のほうが顕著です(中3や高3の生徒の学校での学習進度を考慮するため)。
では、これらの模試の判定はどのように決められているのでしょう? 中学入試の模試の成績処理は、大学入試の模試などに比べると圧倒的に早いのですが・・・どのように合格可能性を判定しているのでしょう?
一言で言えば、中学入試の模試の合格可能性は、昨年の合格判定偏差値との比較データから合格可能性を担当者が予想しているのです。
四谷大塚の合不合判定テストの例を挙げれば、昨年の同時期の模試データにおける受験生の偏差値分布と入試合格者の偏差値分布を比較し、それらを学校ごとの合格可能性として箱ヒゲグラフなどを使って表示しているわけです。その際、1位でも合格可能性80%、最下位でも合格可能性20%と表示されます。以前の表示方式では、1位は合格可能性95%、最下位は合格可能性5%と表示されていましたが・・・現在の方式になってかなり経ちます。
日能研だとR4偏差値(80%合格ライン)・R2偏差値(50%合格ライン)、四谷大塚だとAライン80(80%合格ライン)・Cライン(50%合格ライン)のように、前年の入試結果偏差値から逆算した合格ラインで偏差値表が作成されていますので、それに留意しながら合格可能性を判断しましょう。
というわけで、受験生の皆さんは模試の結果で一喜一憂しがちですが・・・夏前の模試の結果は偏差値を使った定点観測であって、本当の勝負はこれからだと思って、充実した夏期講習を送ることに全力を注ぎましょう!!
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