中学入試に役立つ学習法:社会編その9(経済の話その1)
2023-04-18
カテゴリー:中学入試に役立つ学習法:社会編
アメリカで2つの銀行が経営破綻するような昨今ですが・・・・・中学受験生にとって、一番理解しにくい内容が経済の話だといえます。もともと経済の概念自体は高校の政治経済で詳しく学習する単元ですから、しかたがないのですが・・・・・現代を生きる人間としては、経済問題を避けて通れないので、小学生にもわかるように経済の概念やしくみについて書いてみたいと思います。
シュサイ:「最近、株が上がったとか下がったとか、円安だとか騒いでるけど・・・・・わかる?」
A子:「わかるような、わかんないような・・・・・」
シュサイ:「そうだよね。資本主義経済が本当はどういうものかがわかってないから、当たり前だね。でも、そこがわからないと経済のしくみがわからないから、初めて聞く言葉が多くて難しいかもしれないけど、数回に渡って経済の話をしよう。まず世界的に見ると、中世封建社会ぐらいまでは自給自足経済だったんだ。たとえば、平安時代や鎌倉時代には荘園の大きさが財力を示す基準だったけど、それを耕す農民たちがいて、はじめて米が収穫できるわけだよね。だから土地と農奴が財産だったといえるんだが・・・・・生産力の低かった当時は、その土地から収穫できる作物は、自分たちが生活するだけの分を作って消費する自給自足経済と変わらなかったんだ。つまり、社会全体で生産したものを社会全体で消費するだけで、生活自体が向上したわけではないんだ。」
シュサイ:「そう。ところが日本と違って陸続きのヨーロッパでは、15世紀〜18世紀ごろに商業資本家と呼ばれる商人たちが台頭して、商品経済(市場経済)が発達した。つまり、農産物を買い取って商品として他で高く売ったり、職人たちの同業組合(ギルド)が作った手工業製品を商品として扱って、職人を支配して儲ける人間が出てきたわけだ。」
シュサイ:「そうだね。日本の座はヨーロッパのギルドに比べるとかなり規模が小さいけれど、同じだと思って良いよ。さてヨーロッパでは他国と国境を接していることや、すぐ近くにイギリスという島国があったこと、中国からのシルクロードが通じていたことなどの理由で貿易がすごく発達した。そして土地に束縛されている農民と違って、商人たちは移動ができるから、ヨーロッパでは商業都市が発達したんだ。日本でも伝統工芸品で有名な町はあるけど、ヨーロッパの都市は城壁に囲まれたり、自治権があったりしたことで、日本の都市とは全然イメージが違うんだ・・・・・まあ、こういう話をすると本筋からそれてしまうから割愛するけど・・・・・ようするに、農業主体の自給自足経済から、手工業製品主体の商品経済へと移行し、貿易が盛んになったことや貨幣が流通するようになったこともあって、市場経済(>>詳しくはこちら)が発達したわけだ。」
C君:「要は、農業よりも商業の方が儲かるということか!」
A子:「あんた、それしか言わないよね。」
B君:「まあ、第一次産業が天候などの理由で不安定なのは当たり前だから・・・・・でも、第二次産業を飛び越して、第三次産業の商業が発達している気がするなあ。」
シュサイ:「いいところに気がついたね。自給自足経済が商品経済に移行するためには、生産力の向上が不可欠だよね。つまり、自分の食べ物を誰か他の人が作ってくれるから、食べ物以外の手工業製品を作ることに専念する職人が生まれる。だから、農業の生産性が向上したことが手工業製品の生産と流通を促したことになる。でも、よく考えてごらん。農業製品も手工業製品もすべて人の手が関わっているよね。つまり、人間が作る以上、一日に生産できる個数はおのずと決まってしまう。だから、工業が爆発的に発展するためには、産業革命が不可欠だったんだ。」
B君:「なるほど。日本史だけを勉強しているとそういう動きはわからないもんなあ。」
シュサイ:「蒸気機関の発明や紡績機の発明などによって、爆発的な生産力の向上があって、はじめて本格的な工業が発達したわけだが・・・・・時間がきたから、続きは次回にしようかな。」
というわけで、一気に中世と近世の経済体制を概観しました。産業革命以降が資本主義経済と呼ばれる経済体制になるわけですが、ここからは少し細かく時代を句切って見ていくことにします。それでは、また。
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