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正しい模試の活用法その3:模試の名前に注意しよう

2022-07-08

カテゴリー:正しい模試の活用法,

 読者の皆さんは模試をどのように区別(認識)していますか? おそらく最初は、「四谷の模試」、「日能研の模試」とか「駿台の模試」、「河合の模試」のように主催する塾名で模試のレベルや母集団を認識するのではないかと思います。

 ところが近年の模試では、模試主催塾名=その模試の母集団にならない模試も多いので気をつけなければいけません。

 例を挙げれば、「全国統一小学生テスト」は四谷大塚の主催ですが、あくまでも無料テストですから、全国統一小学生テストの受験生母集団は四谷大塚や早稲田アカデミーで学習している生徒だけではありません。したがって、当然のごとく全国統一小学生テストの偏差値は、首都圏中学受験の合否判定基準としては使えません。

 さらに、模試主催塾が同じで、母集団が同じ場合でも、模試の名前が違うと判定の方法が異なる模試があります。

 日能研の6年生模試の例を挙げれば、「志望校選定テスト」は「あなたの偏差値から考えると次のような学校を志望校にするのがオススメですと日能研がデータから選んで判断してくれる模試で、「志望校判定テスト」は受験者側が志望校を選んで合格可能性を判定してもらう模試です。そして、これと同じ判定の方法ですが、秋以降の模試は、合格判定テスト」という名称に変ります。これは、夏前の模試では出題範囲があり、秋以降の模試では出題範囲がないためだと思われます。

 同じようなケースは他でも見られ、SAPIX模試の場合は、夏前の模試は「志望校判定」、秋以降の模試は「合格力判定」という名称に変ります。ちなみに昔は、四谷大塚の「合不合判定テスト」の夏前のテスト名称は「合不合判定予備テスト」でした。

 このように、天王山と呼ばれる小6の夏期講習前とそれ以降では、模試の名称が変化するぐらい、母集団の学力が変化すると思ってください。

 ちなみに、大学入試の模試の場合はもっとややこしい(駿台・ベネッセ、駿台模試、駿台全国模試では、同じ駿台という言葉が入っていても母集団や難易度が全然違います)ので、模試の名称には特に注意が必要です。

 受験生の方だけではなく受験生の保護者の方も模試の名前と性質をちゃんと押さえた上で模試を利用するようにしてください。

正しい模試の活用法その2:定点観測テストの必要性

2022-07-01

カテゴリー:正しい模試の活用法,

 今日の記事は、模試の定点観測について扱います。テストにつきものなのは偏差値ですが、偏差値というのは、あくまでも受験した母集団の中での立ち位置を表すモノサシです。そのため、母集団そのものの差を判定するためには同じ問題を使用したテストを同時期に行う必要があります。

 たとえば、昨年の中3生に比べて今年の中3生の英語のデキが悪いという感触が教師側にあったとします。その際、毎年同じ時期に同じ問題でテストを行っていれば、その感触が本当かどうかわかるわけです。(実は、今年の中3はコロナ禍で中1だった生徒たちで・・・休校やら不慣れなオンライン授業に翻弄された可哀そうな学年なのです

 ちなみにエクセレントゼミナールでは、中学受験生(特に6年生)に数年前の模試の過去問を同時期に解かせ、卒業生(合格者)たちと成績を比較することで、生徒の学力や成績をより多角的な視点で分析できるようにしています。このように、在籍数が少ない小規模塾でも、少し前の模試問題を使ってテストすることによって、受験生の質と量を数倍にし、テストの精度を上げることが可能になります。

 実はこうした定点観測は大手塾でもやっているところがあり・・・SAPIX小学部でも、まったく同じテスト問題で毎年の小6の母集団を比べる模試があったと記憶しています。

このように、同じ問題で同時期にテストを行うと、横糸(学年での比較)と縦糸(卒業生との比較)で布を織るように、より緻密に生徒の学力を把握することができます。兄弟間や姉妹間の成績を比較することもできるので・・・本人たちはともかく、保護者や教師にとっては学力の比較や苦手分野の比較ができて便利です。 というわけで、コロナ世代の学力を正確に把握するためにも定点観測テストは欠かせない手法だといえるでしょう。

正しい模試の活用法その1:「合格可能性の正体」

2022-06-17

カテゴリー:正しい模試の活用法,

 今日の記事は、新シリーズ「正しい模試の活用法」その1を掲載します。中学受験の基礎講座:第2回「模試の活用の仕方とデータの読み方」に参加された方はご存じだと思いますが、それぞれの模試にはいろいろな特性があります。

 四谷の合不合判定テスト、日能研の合格判定、サピックスの志望校判定、首都圏模試の合判模試が中学受験四大模試となりますが・・・エクセレントゼミナールでは、毎年、生徒の学力や志望校に合わせてこれら4大模試を組み合わせて受験させているため、おのずと模試の特性に詳しくなります。

 今回は、この時期の模試の特性と合格可能性(判定結果)について書いてみたいと思います。

 さて、大前提としてあらゆる模試は母集団の質と量によってその性質が決まってきます。したがって、どのようなレベルの生徒が、何人ぐらい受験していて、どの学校に照準を当てたテストなのかによってテストの性質がおおまかに決まります。

 そして、さらに模試の性質を規定するのが、いつの時期のテストなのかです。つまり、夏前の模試の合格判定と秋の模試の合格判定では判定の確かさに雲泥の差があるということです。

 加えて、夏前の模試には試験範囲がある模試があります。たとえば日能研の模試では社会のカリキュラムが遅いため、公民分野が出題されません。こうした性質は、実は高校入試や大学入試の模試のほうが顕著です(中3や高3の生徒の学校での学習進度を考慮するため)。

 では、これらの模試の判定はどのように決められているのでしょう? 中学入試の模試の成績処理は、大学入試の模試などに比べると圧倒的に早いのですが・・・どのように合格可能性を判定しているのでしょう?

 一言で言えば、中学入試の模試の合格可能性は、昨年の合格判定偏差値との比較データから合格可能性を担当者が予想しているのです。

 四谷大塚の合不合判定テストの例を挙げれば、昨年の同時期の模試データにおける受験生の偏差値分布と入試合格者の偏差値分布を比較し、それらを学校ごとの合格可能性として箱ヒゲグラフなどを使って表示しているわけです。その際、1位でも合格可能性80%、最下位でも合格可能性20%と表示されます。以前の表示方式では、1位は合格可能性95%、最下位は合格可能性5%と表示されていましたが・・・現在の方式になってかなり経ちます。

 日能研だとR4偏差値(80%合格ライン)・R2偏差値(50%合格ライン)、四谷大塚だとAライン80(80%合格ライン)・Cライン(50%合格ライン)のように、前年の入試結果偏差値から逆算した合格ラインで偏差値表が作成されていますので、それに留意しながら合格可能性を判断しましょう。

 というわけで、受験生の皆さんは模試の結果で一喜一憂しがちですが・・・夏前の模試の結果は偏差値を使った定点観測であって、本当の勝負はこれからだと思って、充実した夏期講習を送ることに全力を注ぎましょう!!
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