中学入試に役立つ学習法:国語編その4
2022-11-29
カテゴリー:中学入試に役立つ学習法:国語編
小学生にとって最も難しいのが随筆文です。なぜならば、まだ12年間しか人生経験がない彼らに「大人の経験・感想・意見を理解しなさい。」というのが随筆だからです。ですから、随筆文の読解は、子どもらしい子どもには無理なのです。しかし入試では得点を取らなければならない。ではどのようにすれば少しでも随筆の内容が理解できるようになるのか、について書いていきます。
C:随筆の読解法
①事実と筆者の意見や感想を読み分けよう : 随筆には具体的な事実と、それに対する筆者の意見や感想を書いた部分とがあります。筆者の意見や感想にだけ注目すると、随筆の主題が見えてきます。
②筆者の意見や感想から筆者の考え方(価値観)を見抜こう : 人には様々な価値観があります。価値観というものは、その人の育った環境や経験、立場の違いによって作られていきます。したがって随筆を読むということは、自分以外の人と対話をし、価値観の違いや他の人の経験から学ぶことにほかなりません。ですから自分以外の、しかも経験の多い大人が、物事をどのように見て、どのように感じたかを読み取ることは、何よりも自分を成長させることになるわけです。
③設問をヒントにしよう : 随筆を読むときには、設問がヒントになることが多々あります。随筆では、論説文とは違って、行間に隠された筆者の想いを読み取る設問が多いため、「〜なのはなぜですか。」という問いに答えることで、本文内容が理解できる文章が多いのです。したがって、ざっと読んでも言いたいことがよくわからない随筆だったならば、設問内容をヒントにしながら読むと内容が把握できます。
④難しい言葉はきちんと復習しておこう : 子どもがあまり使わない言葉で、しかし味わいのある言葉が随筆にはたくさん出てきます。寂寥、憂愁、暮れなずむ(意味、読みなどは下記参照)など、聞きなれない言葉は教師や親にちゃんと訊いておきましょう。もちろん、問題文の最後に注釈が書かれている言葉もです。そしてそれらの言葉が、どのような場面で、どのように使われ、どういったニュアンスをあらわすのかを覚えましょう。
やっと終わりが見えてきた国語編。四種類に大別した残りは、詩・短歌・俳句になります。さてここで、物語文・論説文・随筆を読む上で最も大切なことに触れておきましょう。
それは「国語の文章の読み方と、算数や社会や理科の問題の読み方は違う」ということです。
算数や社会や理科の問題を読むときには、いわゆるベタ読み、つまり一字一句もらさない精読が必要であり、それをしなければ情報を見落とすことになりますが、国語の文章を読むときに同じことをやっていては、試験時間内に問題を解き終わることは不可能です。したがって国語の試験では、本文のナナメ読み、つまりざっと本文の内容を把握した後に、設問にしたがって傍線部付近を精読して解答するというテクニックが必要になります。
このナナメ読みができるようになるためには、本を読むときにできるだけ早く読もうと心がけることです。国語であれ、英語であれ、語学のできる人は、このナナメ読みによる内容把握能力が高い人です。速読能力を高めるためにも、本を読むときは時間を区切って読む練習をすると良いでしょう。
・寂寥(せきりょう)―Ⅰ.心が満ち足りず、もの寂しいこと。Ⅱ.ひっそりとしてもの寂しいさま。
・憂愁(ゆうしゅう)―うれえ悲しむこと。気分が晴れず沈むこと。
・暮れなずむ(くれなずむ)―日が暮れそうで、なかなか暮れないでいるさま。