中学入試に役立つ学習法:社会編その8
2023-03-21
カテゴリー:中学入試に役立つ学習法:社会編
前回は大化の改新で4つの柱が制定されたというところで終わりました。さて、今日は・・・・・
シュサイ:「前回は大化の改新で4つの方針が決められたところまで話したんだったね。4つの方針というのは、
①公地公民制
②班田収授法
③国郡制度
④租庸調
だったね。さて、この改新の詔(かいしんのみことのり >>詳しくはこちら)は唐の政治制度を参考に作られたものなんだが、実現されるまでに数十年かかったと考えられているんだ。つまり、645年の大化の改新(>>詳しくはこちら)の後、663年に白村江の戦い(はくそんこうのたたかい、はくすきのえのたたかい >>詳しくはこちら)で唐と新羅の連合軍にボロ負けして、672年に壬申の乱(じんしんのらん >>詳しくはこちら)が起こって、694年に飛鳥(>>詳しくはこちら)から藤原京(>>詳しくはこちら)へ遷都する。そして701年に大宝律令(>>詳しくはこちら)が定められて、この頃にやっと本格的に政治制度が整備されたかな、というところで710年には平城京(>>詳しくはこちら)へ遷都する。(>>こちら参照)もともと古代は現代と違って時間の流れがゆっくりだし、まして新しい都を作ってお引越しをする遷都なんて何年もかかる大事業だから、民衆はいつも振り回されている感じだったんじゃないかな。」
B君:「そうかあ。確かに今よりものんびりしていた時代だもんなあ。」
シュサイ:「いずれにしろ、日本が律令国家となるには、大宝律令の制定までかかったわけさ。さて、国にとって一番大事なのは税の徴収なわけだ。だから、そこに注目して日本の歴史を振り返ってみることにしよう。」
C君:「やっぱりお金は大事だなあ。」
シュサイ:「税とお金つまり貨幣は違うんだけどなあ。まあ、お金が好きなC君のために、ちょっと横道にそれるけど、貨幣の話(>>詳しくはこちら)でもするか。富本銭(ふほんせん >>詳しくはこちら)や和同開珎(わどうかいちん、わどうかいほう >>詳しくはこちら)は存在していたけれど、国が作る貨幣にとって最も必要なのは、その価値に対する民衆の信頼なんだ。実際、飛鳥時代の和同開珎から始まって平安時代中期までに12種類の貨幣(>>詳しくはこちら)が作られたんだけれど、信用が無くなって使われなくなってしまった。実際に日本の貨幣制度が統一されたのは江戸時代だったから、日本では銅銭は600年間作られなかったことになる。」
C君:「えっ、お金が無かったの!」
シュサイ:「そういってもいいね。お金には4つの必要条件がある。
①価値が認められること(価値尺度)
②交換できること(交換手段)
③支払いができること(支払手段)
④価値が保存できること(蓄蔵手段)
の4つだ。ところが安定した通貨というのはなかなか無いんだ。価値尺度について、君たちにわかりやすい例を挙げると、第二次世界大戦後しばらくして決められた円の価値は、1ドル=360円(>>詳しくはこちら)だった。ところが今は1ドル=130円ぐらいだから、ドルから観た円の価値が約3倍になったことになる。つまり、昔のアメリカで360円だったものが、今なら130円で買えることになる。もっとも約70年経っているから、インフレを考えると一概には言えないけどね。現在の通貨は、国の信用が元になった管理通貨制度の下で発効されているけど・・・・・もしも赤字国債を乱発したり、偽札が大量に出回ったりしたらどうなる?」
B君:「ええと・・・・・お金の価値が下がって、今までの金額じゃ買えなくなります。」
シュサイ:「そうだね。このように、②〜④の機能が保障されている現代通貨であっても、①の価値尺度は変化しやすいわけだ。お金の価値というのは、国家に力があって初めて信用されるものなんだ。ところが、昔はコロコロと政治体制が変わるから、だれも政府の言うことを信用しないわけ。だから、お金よりも米のほうが信用されたんだ。したがって、税という漢字はのぎへんを書くわけ。」
C君:「だから僕は最近、お金よりも食べ物のほうに惹かれるのか!」
B君:「それは単にお前が卑しいだけだろ!」
シュサイ:「・・・・・またか。さて、米を作るのに必要なのは土地だよね。だから、土地をどのように分配するかが大きな問題だったわけだ。したがって土地の所有の仕方は、飛鳥時代の公地公民制・班田収授法(>>詳しくはこちら)⇒奈良時代の三世一身法(さんぜいっしんのほう >>詳しくはこちら)を経て、墾田永年私財法(こんでんえいねんしざいほう >>詳しくはこちら)⇒荘園(しょうえん >>詳しくはこちら)の発生、鎌倉時代の御恩と奉公の関係⇒太閤検地(>>詳しくはこちら)による荘園制度の完全な崩壊⇒明治時代の地租改正(ちそかいせい >>詳しくはこちら)へと進化していった。というわけで、国家を運営するための税金をどうやって徴収するかという工夫は、今も昔も変わらないってことだね。じゃあ、今日はここまでにしようか。」